一般公開され、来館者でにぎわう谷口吉郎・吉生記念金沢建築館=寺町5丁目

一般公開され、来館者でにぎわう谷口吉郎・吉生記念金沢建築館=寺町5丁目

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谷口建築の神髄紹介 金沢・寺町に記念館開館

北國新聞(2019年7月27日)

 国内初の建築美術館「谷口吉郎(よしろう)・吉生(よしお)記念金沢建築館」は26日、寺町5丁目で開館し、待ちわびた市民らは谷口親子が手掛けた建築作品の神髄に触れた。水野一郎館長は館内で同日始まった特別展に合わせ、8月下旬から3回、吉生氏らが語り合うフォーラムを開く計画を明らかにし「建築やまちづくりの面白さを広めたい」と力を込めた。
 建築館は吉郎氏の長男吉生氏が設計し、吉郎氏の代表作である迎賓館赤坂離宮の和風別館「游心亭(ゆうしんてい)」の広間や茶室が忠実に再現された。市制施行130周年記念事業で吉郎氏の住居跡に整備され、吉郎氏を顕彰し、藩政期から現代までの建造物が共存する金沢の建築文化を発信する拠点となる。
 当初、一般公開は午後2時の予定だったが、開館前から約50人が列をつくり、10分前倒しされた。一番乗りとなった愛知県の会社員内山竜一さん(33)、里恵さん(25)夫婦は「(同県の)博物館明治村にも吉郎さんが関わっていたとは知らなかった。建築館を通して手掛けた作品が知られればいい」と話した。
 鈴木大拙館など吉生氏が設計した建物が好きという金大附属高1年の小野江安里彩(ありさ)さん(15)は「シンプルながら細部まで考え込まれた建築館に感動した。観光客も気軽に立ち寄ってほしい」と期待した。
 市は建築館の年間入館者数を3万人と見込む。オープン初日のチケット販売数は287枚で、水野館長は「100人来れば上々と思っていたので、予想以上だ」と手応えを口にした。
 一般公開に先立ち、市文化ホールで開館記念式典が行われた。山野之義市長が式辞、迎賓館の日下正(くさかまさ)周(ちか)館長、松村理治市議会議長が祝辞、水野館長が謝辞を述べた。建設用地として市に土地を寄付した吉生氏と姉納屋眞美子さん、妹杉山眞紀子さんに感謝状が贈られた。
 名誉館長に委嘱された吉生氏は「身近なものである建築に親しんでもらい、美しい金沢のまちづくりに貢献する施設にしたい」と意欲を示した。

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