石川県無形民俗文化財「向田(こうだ)の火祭」は27日、七尾市能登島向田町の崎山広場で行われた。小雨の降る中、若衆や見物人が手松(たい)明(まつ)を高さ約30メートルの柱松明に投げ入れて点火すると、じわじわと炎が燃え広がり、巨大な火柱が島の夜空を赤く染めた。
同町の伊夜比咩(いやひめ)神社で神事が行われた後、地元の子どもたちが作ったあんどんで照らされた道を、神輿(みこし)と大小7基の奉燈(ほうとう)が連なって進み、柱松明が置かれた広場へ巡行した。
午後9時半ごろ、若衆らは火の付いた手松明を掲げて広場を走り回り、合図が出ると一斉に中央の柱松明に手松明を投げ入れ、炎が広がるのを見守った。
柱松明は今年の「豊漁」を示す海側に倒れ、観客は火の粉が舞い落ちる幻想的な光景に見入った。