創建時の姿に復元された本堂の渡り廊下=勝興寺

創建時の姿に復元された本堂の渡り廊下=勝興寺

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平成の大修理大詰め 高岡・勝興寺

北日本新聞(2019年8月10日)

■本堂の渡り廊下復元

 高岡市伏木古国府の国重要文化財・勝興寺の「平成の大修理」が大詰めを迎えている。7月には現存していなかった本堂の渡り廊下が創建時の姿に復元され、残すは今秋の鼓堂、来年の総門だけとなった。歩道の舗装やバリアフリー化など参拝客を受け入れる環境整備も本格化。1998年の修理開始から20年余りを経て、江戸期に築き上げられた壮麗な伽藍(がらん)が令和によみがえる。

 平成の大修理は1998年に本堂で第1期工事が始まり、2005年に第2期工事に着手。20年度末までの計画で本堂を含む12棟を修理してきた。事業費の総額は70億円を超える。

 復元した本堂の渡り廊下は門信徒用の東廊下(約75メートル)。修理に伴う調査で柱の土台だった礎石が見つかり、創建時の位置を特定できた。寺の住居機能である本坊の大広間とつながる。

 7月は寺院関係者用の中廊下(約45メートル)の修理も終えた。いずれの廊下も白しっくい壁でスギ材を中心に使い、屋根は金属板で一部がこけらぶきになっている。本堂と書院を結ぶ中廊下は見学コースに含まれる。

 今秋は屋根をこけらぶきにする鼓堂の修理が完工。さらに境内の中央に立ち並び視界を遮っていた工事関係者用などのプレハブ小屋が撤去され、本堂や本坊、渡り廊下といった伽藍の全貌を見渡せるようになる。

 参拝客を案内している地元の観光ボランティア「比奈の会」の金子榮子会長は「これまで見られなかった景色が広がる。若い人にも伝えていきたい」と話す。

 20年度は最後に残る総門の瓦のふき替えなどを行う。参拝客の受け入れ態勢を充実する整備は今年から順次実施。境内に歩道を造り、本坊の見学コースに段差解消用のスロープを設ける。展示ケースを並べ、寺宝のほか、修理で発見された部材なども公開する。

 文化庁が文化財を活用した観光振興を推進する中、勝興寺も参拝客数が増加傾向にある。修理が完了した本坊を一般公開した18年度は、前年度比4千人増の約1万9千人が訪れ、本年度はこれを上回るペースで推移している。勝興寺文化財保存・活用事業団の高田克宏専務理事は「美しくなった姿をより多くの人に見てもらいたい」と語った。 


■旧参道の景観向上
 高岡市は本年度、勝興寺の旧参道「ふるこ通り」の修景事業に着手する。電柱のカラー化など道路設備を対象とし、伝統的な町並みの魅力を高める。

 ふるこ通りは勝興寺から伏木北前船資料館までの約550メートル。格子や出桁(だしげた)などの町屋が残り、旧寺内町の風情を感じられる。

 地元住民とのワークショップで出た意見を基に、電柱を茶色にし、街路灯とマンホールのふたのデザインは景観との調和を図る。初年度の事業費は国の補助金を含め1150万円で数年かけて完工する。

 勝興寺は歌人、大伴家持が国守を務めた奈良時代の越中国庁跡とされる。万葉集が令和の典拠になった追い風も吹き、市教育委員会生涯学習・文化財課は「万葉歴史館や雨晴海岸など伏木地区の歴史文化資産のストーリー性を生かし、地域振興につなげていく」としている。

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