越前和紙を使ったふすまの魅力を、しつらえた和室での展示などを通して実感してもらう「大ふすま展」が9月6日、福井県越前市新在家町の紙の文化博物館で開幕した。伝統の和を生かしたデザインからモダンな模様まで約40本を展示、和室の空間を形作るふすまの機能と魅力を伝えている。11月11日まで。
越前和紙の産地として、日本伝統のふすまの良さを見直してもらおうと越前市が企画した。同市今立地区でふすま紙を漉く製紙所5社の「大紙会」が協力した。
展示場1階は、模様が大きく大胆なマーブル柄やパステル調の水玉模様など新鮮なデザインのふすまを展示。5社の職人のふすま紙を組み合わせて一つのふすまにしたコラボ作は、中央にしつらえた和室に掲げた。
2階展示室は、和を生かしつつ意匠や素材に工夫を重ねたふすまが並んだ。現代の名工に選ばれた伝統工芸士、長田榮子さんは、着色した繊維を貼り付けて、ふすまにフジを描いた。
市学芸員の佐藤登美子さんは「ふすまは部屋の仕切りだけではなく、アートのキャンバスでもあり、その空間の性格を決めるもの」と、ふすまの機能と魅力を紹介。訪れた人はふすまがつくりあげる空間の美を堪能していた。
問い合わせは同博物館=電話0778(42)0016。