小松市安宅町の安宅住吉神社の例大祭「安宅まつり」(北國新聞社後援)は7日、3日間の日程で幕を開けた。残暑の中、日中は男衆による獅子舞、神輿(みこし)が町内に繰り出し、夜は深紅の襦袢(じゅばん)に身を包んだ未婚女性らがあでやかな輪踊りを披露した。日本遺産「北前船寄港地・船主集落」に認定された港町の活気を令和の新時代に受け継ごうと、住民が一体となって汗を散らした。
輪踊りは約400年前に始まった念仏踊りが起源とされ、昭和初期からは未婚女性が地元の絹織物「小松綸子(りんず)」で仕立てた赤襦袢を着て踊るようになった。踊り子目当てに男衆が集まったことから、「嫁定めの踊り」とも呼ばれる。
境内に集まった女性は島田まげ姿で踊りを奉納。安宅コミュニティセンター駐車場まで練り歩き、「関所音頭」や「安宅小唄」でしなやかな所作を見せた。
本来なら輪踊りは最終日に行うが、今年は月曜で美容院が定休日のため日程をずらした。
これに先立ち、神社では神輿の神渡式が行われた。白装束を身に着けた氏子の男衆が約30人がかりで重さ1・5トンの神輿を担ぎ、各地区で力強い掛け声を響かせた。
安宅町宮獅子保存会の35人は家々の前で息の合った獅子舞を演じ、家内安全を願った。「安宅の関」が舞台となる歌舞伎「勧進帳」をイメージした顔面のペイントが住民の目を引いた。最終日の9日までに町内の約600軒を回る。
8日は獅子舞、神輿に曳船の巡行も加わる。