展示作品について説明をする手塚雄二さん(右奥)=9月6日、福井県福井市の福井県立美術館

展示作品について説明をする手塚雄二さん(右奥)=9月6日、福井県福井市の福井県立美術館

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手塚雄二展が開幕、心揺さぶる風景美 福井県立美術館

福井新聞(2019年9月8日)

 現代を代表する日本画家の一人、手塚雄二さん(66)の特別企画展「光を聴き、風を視(み)る」(福井新聞社共催)が9月6日、福井県福井市の福井県立美術館で開幕した。たそがれ時の雲間や振り向きざまに見た月など、心揺さぶられる一瞬の風景美をとらえた大画面を中心に、40年の画業をたどる。来館した手塚さんはギャラリートークで不変のテーマに据える希望や、作品に込めた思いを明かし、詰めかけた日本画ファンを喜ばせた。

 39歳の若さで歴史ある美術団体「日本美術院」の最高位である同人に推挙され、51歳のときから東京芸大の教授を務める手塚さん。来年創建100年を迎える明治神宮から依頼を受け、ご神宝となる屏風(びょうぶ)を制作。奉納を控えた6月には、特別館長を務める同美術館でのお披露目展も成功させた。

 だが、常に順風満帆だったわけではない。画家になる夢をあきらめきれず、5浪の末に東京芸大に合格。30代のときには学生結婚した妻が産後に体調を崩し、生活への不安が重くのしかかった。

 赤子の世話や家事、妻の見舞いにと疲弊する中で、安らぎを求めたのが自然だった。鎌倉市の朝比奈切通(あさひなきりどお)しを取材した「炫(げん)」(1988年)は、見上げた坂の先に差し込む神秘的な光を描く。「うっすらと明るい光に希望や救いを求めながら描いた」というこの作品で新境地を開いた手塚さんは、翌年から3年連続の日本美術院賞(大観賞)受賞。上昇気流に乗った。

 初期のシュルレアリスム作品から近年の院展出品作まで代表作72点を中心に、素描や茶器、着物など計約170点を並べる。会場では京都・三十三間堂内の国宝「風神雷神像」の上半身のみをクローズアップした長さ14メートルの「風雷屏風」(99、2000年)がひときわ目を引いていた。

 10月6日まで。一般・大学生1200円、高校生700円、小中学生400円。問い合わせは同美術館=電話0776(25)0452。

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