上伊那地方などで採れたマツタケが並ぶ伊那市の直売所。「品薄」の文字も見える

上伊那地方などで採れたマツタケが並ぶ伊那市の直売所。「品薄」の文字も見える

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マツタケ出足鈍く... 伊那谷、今後の天候に注目

信濃毎日新聞(2019年9月25日)

 伊那谷で秋の味覚マツタケの出足が遅れている。このところの残暑や少雨が原因とみられ、駒ケ根市東伊那の上伊那農協東伊那支所では24日、季節限定のキノコ直売所を設けたが持ち込みはなかった。関係者はやきもきしながら今後の天候に注目している。

 同支所の直売所は持ち込まれたマツタケをその場で選別、販売する「新鮮さ」が売りで遠方からも来客がある。午前9時ごろから客が顔を出したが、持ち込みはゼロ。選別などを担当する職員の岡田直也さん(35)は「7、8月に雨が多くて期待したが...」。この日は贈答用の箱を準備するしかなかった。

 地元で「マツタケ博士」として知られる伊那市富県の藤原儀兵衛さん(81)は出足の遅れについて、「9月に入って30度近い気温が続いたことが一因」とみる。マツタケは地中温度が19度を下回ると発生しやすいが、残暑のため、菌がいったん活発化した後で再び気温が上がる「戻り」があったといい、「今年は期待できなさそう」と語る。

 伊那市ますみケ丘の産直市場「グリーンファーム」でも、多い年は1日200キロほど持ち込まれるのが現在は「例年の10分の1程度」。入荷量が少なく、担当者は「家庭用のマツタケとしても値段が高くなってしまう」と話す。

 豊丘村の浅井商店でも、豊作だった昨年は9月下旬に出荷を始めたが、今年は24日時点で発送は1件もないという。同店の担当者は「マツタケが全然持ち込まれず、出荷の予想が立たない。雨が少ない上に暑い日が続き、山が乾き過ぎているのではないか」と気をもむ。

 県林業総合センター(塩尻市)特産部も「今年は県内各地から『マツタケの出足が鈍い』という声を聞く」という。発生には適度な気温と雨が必要とし、「今後は天候次第だが、豊作になるには秋が長く続くのが望ましい」としている。

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