複合ビルとして生まれ変わる旧淡中医院の建物=長町2丁目

複合ビルとして生まれ変わる旧淡中医院の建物=長町2丁目

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長町の旧医院再生 昭和の建物複合ビルに、カフェ、デザイン事務所入居

北國新聞(2019年9月28日)

 長町武家屋敷界わいの大野庄用水沿いにあり、空きビルとなっていた旧医院の建物が10月、カフェやデザイン事務所が入居する複合ビルに生まれ変わる。半世紀にわたって地域の医療を守ってきた昭和の建物を壊すことなく活用し、新たな活力を吹き込む。町家だけでなく、近世から近現代の建物が混在する金沢の多様な景観を守る。
 長町2丁目にある建物は1968(昭和43)年に建てられた鉄筋コンクリート造3階建てで、淡中(たんなか)医院の診療所兼住宅として使われていた。医院を閉め、15年ほど前から空きビルとなっていたが、院長の遺族が「長年、地域医療を支え、生活の場として暮らしてきた建物を、未来へつながる場所にしたい」と改修を決めた。
 活用は尾張町界わいの八百萬(やおよろず)本舗、ホテルHATCHi(ハッチ)を手掛けた設計・不動産業の「E.N.N.(エン)」が担当した。タイル張りの懐かしい外観にはなるべく手を加えず保存し、長期的な利用を視野に、観光駐車場や土産物店などへの転用でなく、内装を自由に変更しながら建物を維持できる入居者を募ることにした。
 医院の名と建築年にちなんで「TANNAKA68」と名付けたビルには、カフェ・アパレル店、設計事務所、デザイン事務所の入居が決まり、来月中頃にはカフェとアパレル店がオープンする予定という。東京で暮らす遺族の小間ゆかりさんは「医院だった頃のように、また人が集まる場所となり、地域になじんでほしい」と話した。
 市内では片町や石引エリアを中心に、東京五輪や高度経済成長を背景に、昭和30~40年代に建設された老朽ビルが多く残る。建築家の小津誠一代表は「金沢は全国と比べてまだ活用事例が少ない。企業や店舗だった忘れられたビルも活用の可能性があることを知ってもらいたい」と話した。

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