旧米蔵の前で語り合う(左から)桝田社長、プリエソルさん、コティネックさん夫妻=富山市東岩瀬町

旧米蔵の前で語り合う(左から)桝田社長、プリエソルさん、コティネックさん夫妻=富山市東岩瀬町

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「馬場家」旧米蔵で地ビール造り 富山・岩瀬の事業者

北日本新聞(2019年10月6日)

 北前船交易による繁栄の歴史を持つ富山市岩瀬地区で来年3月、回船問屋として栄えた馬場家の旧米蔵を活用した地ビール醸造所がオープンする。ビールの本場、チェコ出身の職人が腕を振るう。路面電車の「南北接続」のタイミングに合わせ、岩瀬に新たな魅力が加わる。

 地元で修景事業に取り組む岩瀬まちづくり(富山市東岩瀬町、桝田隆一郎社長)が、旧米蔵の所有者である市から借りて運営する。旧米蔵は国の登録有形文化財で、桝田社長は「文化財をこれまでの『見る』から『生かす』という形で、多くの人を呼び込みたい」と話す。

 旧米蔵は築100年以上の土蔵で、重厚なたたずまい。かつてコメが積み上げられていた内部には、中央に釜や発酵タンクといった醸造装置を据え付ける。装置を囲むように約70人分のテーブル、カウンターを配置。来客に造りたてを味わってもらうようにする。提供するのは、チェコ伝統のラガー。ドイツ、米国の醸造技術を用いた地ビールもそろえる。

 醸造所を取り仕切るのは、岩瀬地区に住むビール醸造会社経営のジリ・コティネックさん(42)。チェコで職人として働いた後、2005年に来日した。「歴史を感じる空間で地ビール造りができる。オープンが待ち遠しい」と語る。妻の和子さん(42)、醸造会社を共同経営するスロバキア出身のボリス・プリエソルさん(37)が手伝う。

 開業資金の一部は、県内独自の地域通貨「エール」で募る予定。エールは桝田社長が経営する桝田酒造店(同)など県内企業5社が出資して昨年から運用を始めたもので、インターネットの「クラウドファンディング」で協力を求めることにしている。

 旧米蔵は2014年に、当主の故馬場英正さんが、岩瀬地区で最大規模の主屋などと共に富山市に寄贈。16年には「旧馬場家住宅」として国登録有形文化財となった。

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