内覧会で作品について語る八田豊さん(中央)=10月25日、あわら市の金津創作の森美術館

内覧会で作品について語る八田豊さん(中央)=10月25日、あわら市の金津創作の森美術館

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盲目芸術家70年の軌跡 あわらで八田豊展

福井新聞(2019年10月26日)

 50代でほぼ視力を失ってからも聴覚や触覚、記憶を頼りに制作を続け、89歳の今も現役の現代美術作家八田豊さん(福井県越前市)。70年を超える創作の歩みをたどる「アートドキュメント2019 八田豊展―アウラに生きる」(福井新聞社共催)が10月26日、あわら市の金津創作の森美術館で開幕する。25日の内覧会では八田さん自身が作品解説に立ち、制作への情熱を持ち続けた不屈の生涯を振り返った。

 八田さんは1930年生まれ。金沢美術工芸専門学校(現金沢美術工芸大)を卒業した51年に帰郷し、戦前戦後を通じて福井の前衛美術運動をリードした「北美文化協会(北美)」の会員となった。

 初期は具象、抽象画を描いた八田さんが、評価を確立したのは筆を置いた60年代。たがねを付けたコンパスによる円を少しずつ規則的にずらし、地塗りしたパルプボードや金属板を削るカービング作品で注目を集めた。

 しかし、40代に差し掛かったころから徐々に視力が悪化し「自分を見つめざるを得なくなった。生きる方向を模索する中で、新しい表現や和紙に出合った」と八田さん。80年代後半からは画面に絵の具を流し、わずかな光の反射や流れ落ちる音を頼りに描いたドローイングや、触覚を頼りにコウゾの皮を画面に貼り合わせた平面作品に挑んだ。

 展覧会は抽象、具象画に始まり、半世紀自宅に眠っていたという大画面のカービング、ドローイング、平面作品など代表作約100点を並べる。93年から続く「丹南アートフェスティバル」など、地方美術運動のオーガナイザーとしても指導力を発揮する八田さんは「昨日の自分に立ち向かい、破壊して新しい自分をつくる。私の生涯はその繰り返しだった」と振り返った。

 12月8日まで。一般600円、65歳以上300円、高校生以下無料。26日午後2時からは美術評論家の建畠晢(あきら)さん、土田ヒロミ館長、八田さんによる鼎談(ていだん)、27日午後2時からはマリンバやサックスなど県内の女性4奏者による「アンサンブル"COLORS"」のコンサートがある。

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