移転開業した魚介の加工品などを取り扱うセレクトショップ「つりや」

移転開業した魚介の加工品などを取り扱うセレクトショップ「つりや」

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伝統のまち岩瀬に新店相次ぎ開業

北日本新聞(2019年10月29日)

 富山市岩瀬地区の古い町並みが残る大町通りで、伝統建築を生かした店の移転開業が相次いでいる。釣屋魚問屋(氷見市地蔵町、釣吉範社長)の食品セレクトショップ「つりや」が富山駅構内から移転し、東岩瀬町に今月オープン。同町には、フランスのグルメガイド「ゴ・エ・ミヨ」に掲載された日本料理の「御料理ふじ居」が8月に富山市五福から移転しており、地区の活性化に期待が高まっている。

 1世紀近く前に建てられた木造2階建ての家屋を改築した「つりや」は、元の建物を生かし町並みと調和した外観が特徴。近海の魚介を使った干物やオイル漬け、薫製といった加工品をはじめ県内外の食品が並び、カフェスペースがある。富山駅の商業施設「きときと市場とやマルシェ」に店を構えた以前に比べ、敷地面積がおよそ3倍になった。より時間をかけた丁寧な接客を目指している。

 釣屋魚問屋の鈴木光昭常務(43)は「理想を形にするため、人が多く訪れる駅を離れたことは挑戦。富山を盛り上げる一助になりたい」と話した。年内には、店舗2階に1日1組限定の宿泊施設も開く。

 8月中旬には、回船問屋として栄えた東岩瀬五大家の一つ、宮城家の一角に「御料理ふじ居」が開店した。金沢や京都の日本料理店で修行した藤井寛徳さん(43)が腕を振るう。以前の店舗にはなかった本格的な日本庭園を備え、岩瀬地区在住のガラス作家や陶芸家の器をそろえた。

 富山の飲食業界をけん引する同世代のシェフが店を構え、切磋琢磨(せっさたくま)できる環境にあると考え、移転先に岩瀬を選んだ。藤井さんは「足を運びたいと思ってもらえる、食に精通した人が集まるまちになっている」と期待をにじませる。

 岩瀬地区はかつて北前船貿易で栄えたが、近年は空き家が多くなっていた。伝統的な町並みの保全と魅力の創出を目指し、2004年に設立された岩瀬まちづくり株式会社(社長・桝田隆一郎桝田酒造店社長)が古民家や土蔵の再生に取り組んできた。

 まちの雰囲気に魅了されて地区外から人が集まり、フランス料理やイタリア料理のシェフ、ガラス作家や木彫刻家ら若手の作り手が店や工房を開いた。国登録有形文化財「旧馬場家住宅」にも物販・飲食施設が設けられ、来年3月には地ビール醸造所が完成する。同月に控えた路面電車の南北接続も追い風に、岩瀬に新たな魅力が加わっている。

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