店のカウンター席に立ち、お客さんへの感謝の思いを伝える五十嵐勝枝さん(左)やスタッフ=県庁前天米

店のカウンター席に立ち、お客さんへの感謝の思いを伝える五十嵐勝枝さん(左)やスタッフ=県庁前天米

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天米県庁前店が閉店 12月30日最終営業

北日本新聞(2019年10月30日)

■県民に愛され55年

 天ぷら専門店の県庁前天米(富山市桜町)が12月30日で閉店し、55年の歴史に幕を下ろす。厳選した食材を生搾りのごま油で揚げ、県内外のファンの舌を楽しませてきた。店主の五十嵐勝枝さん(80)は、前店主で夫の靖知さんが亡くなった後も自慢の味を守ってきたが、体力面の不安から店を閉じることにした。「『ありがとう』の思いでいっぱい」と感謝を伝えている。

 店は1965年10月に靖知さんが開業。長兄が営む天米魚津店で修業後に独立し、勝枝さんと二人三脚で切り盛りした。当初はカウンター7席と小上がり席のみだったが、味の評判が広がり、新築を2度繰り返して規模を大きくしてきた。

 一貫していたのは、一期一会を大切にする接客心。靖知さんはカウンター越しの揚げ場に立ち、客との会話に花を咲かせながら揚げたての天ぷらを一品ずつ提供した。

 2013年10月に靖知さんが76歳で他界した際、勝枝さんは閉店すべきか悩んだ。常連客やスタッフの励ましを受けて営業を続けてきたが、今年に入って体力の不安を拭えなくなった。靖知さんの七回忌を迎え、「創業55年目に入った今が潮時かな」と家族やスタッフらと相談して決意した。

 50年以上にわたって調理を担当してきた宮崎さんと板垣さんは「閉店は寂しいが、こだわりの天ぷらを作ってこられた」と言う。勝枝さんも亡き夫が調理場に立つ姿を思い返しながら、「『ここまでよくやったよ』と言ってくれると思う」と柔らかな表情を見せた。

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