上田市内の温泉地は台風19号で客足に影響が出た。施設そのものへの被害は少なかったが、道路陥没や上田電鉄別所線の一部区間運休で、迂回(うかい)路や代行バス運行といった対策が続く。情報発信や限定プランなどの仕掛けで巻き返しを図る。
「鹿教湯は元気です」。鹿教湯温泉交流センター前では31日、30人ほどが掛け声に合わせて笑顔で写真に納まった。旅館や観光協会の関係者らが会員制交流サイト(SNS)などで発信する。
「宿泊客は例年よりも減っている。台風の影響は受けている」と鹿教湯温泉旅館組合長の斎藤重憲さん(42)。温泉の配管が被害を受け、加盟19施設のうち1施設が休業した。その1施設も11月の営業再開となり、温泉地全体で「復興」をアピールする。
10日には「ウォーキングフェスタ」を開く。ゲストには、2016年の大河ドラマ「真田丸」に矢沢三十郎頼幸役で出演した迫田孝也さんに加え、真田家の家老役で共演した高木渉さん、大野泰広さんの参加も、台風後に急きょ決まった。
別所温泉では台風から1週間ほどで約1700人の宿泊キャンセルがあったが、現在は例年並みにまで回復。今後は冬季限定の宿泊プランを企画する予定だ。別所温泉旅館組合長の倉沢晴之介さん(39)は「冬は料金面でお得。年末年始に上田へ帰省する人たちが家族で過ごせる場として提案したい」と話している。