再現した御膳を試食し、意見を交わす経沢さん(左)と加藤学芸員

再現した御膳を試食し、意見を交わす経沢さん(左)と加藤学芸員

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立山宿坊の御膳再現 富山の経沢さん、立山博物館と協力

北日本新聞(2019年11月3日)

 郷土史研究家で料理人の経沢信弘さん(59)=富山市千代田町=は立山博物館と協力し、明治時代に立山参詣に訪れた人たちに振る舞われた御膳を再現した。愛知県の庄屋、小島茂兵衛家に残されていた道中記を基に、立山町芦峅寺の宿坊「日光坊」の献立を調理。同博物館や芦峅寺の関係者らが、富山市の割烹(かっぽう)まる十で御膳を試食し、感想や意見を交わした。

 小島家は愛知県の知多半島・松原村の庄屋で、芦峅寺衆徒らの布教拠点「檀那場(だんなば)」だった。1871(明治4)年、小島茂兵衛信英が同行者3人と36日間の日程で富士山、立山、白山の三霊山を巡礼し、旅日記「山連場道中記」をまとめた。記録の一部分に立山登拝前や下山後に提供された食事の記述があった。

 立山博物館の企画展で小島家から借用した道中記を展示したことから、同館の加藤基樹学芸員(43)が経沢さんに相談し、御膳の再現に取り組んだ。

 道中記に記された献立からは、保存食の乾物や山菜が食べられていたのが分かった。材料や食器の記述しかない部分があったものの、経沢さんは万葉料理や大名料理を再現した経験を生かし、味付けや食材の一部を推測して作った。

 御膳は10月28日に再現された。タケノコと麩(ふ)の煮物、トウガンと氷こんにゃくの煮物、長いもやササギのごま和え、芦峅寺の郷土食「つぼ煮」、呉汁、にぎり飯など8品が並んだ。

 関係者が赤御膳に盛られた品々を味わい、「精進料理だったのだろう」「魚や肉は出されなかったのか」「食材の味を堪能できる」などと感想を述べ合った。経沢さんと加藤学芸員は「宿坊での食事を学術的に検証し、後世に残していければいい」と話した。

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