カニが詰まった箱を次々と陸に揚げる漁業者=加賀市の橋立漁港

カニが詰まった箱を次々と陸に揚げる漁業者=加賀市の橋立漁港

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加能ガニ「最高の1匹」30万円 県内、初物水揚げ

北國新聞(2019年11月7日)

 カニ漁が解禁された6日、石川県沖でとれたズワイガニの雄「加能ガニ」や雌「コウバコガニ」を積んだ漁船が県内の漁港に次々と戻り、初物が水揚げされた。県漁協かなざわ総合市場では各漁船が厳選した1匹ごとの加能ガニの競りが初めて行われ、仲買人や見物客ら約100人が見守る中、最高で1匹30万円の値が付き、市場内はどよめいた。カニは7日、店頭に並ぶ。
 加賀市の橋立漁港には午後2時35分から漁船が続々と帰港。待ちかねた女性らが魚箱を運び、港は活気づいた。
 金沢港内にあるかなざわ総合市場の競りは午後7時に始まり、16隻の漁船が「自慢の1匹」を寄せた。通常は3~10匹ごとに競り、解禁日でも高くて1匹2万~3万円だという。身の引き締まった大物を前に威勢のいい声が飛び交い、平均額は約6万6千円だった。
 料亭旅館「金城樓」(金沢市)から注文を受け、最高額で競り落とした三上(さんじょう)和彦同市場流通課長は「大きさや色合いが良く、身も厚そうで必ず欲しかった。全国のブランドガニと比べても遜色ない」と手を震わせ喜びに浸った。
 1匹ごとの競りは加能ガニの価値を高めるため実施された。他県の例を参考に石川でも今後、最上級ブランドの名称や重さ、サイズの基準を検討し、来季は新しいブランド名でPRする方針だという。
 台風19号による北陸新幹線の一部区間運休で県内観光地が打撃を受ける中、カニ漁解禁は誘客の好機になるとし、県漁協の油谷安弘業務部長は「初回で30万円は上出来。加能ガニの名を全国に広めて多くの観光客に味わってもらい、漁師はもちろん地域全体が潤ってほしい」と語った。
 かなざわ総合市場で初競りに掛けられたズワイガニは約6千ケースで、初日の水揚げ量は例年より少なかった。漁期はコウバコガニが12月29日まで、加能ガニが来年3月20日まで。

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