長野市中心市街地を電飾の光で彩る「善光寺表参道イルミネーション」が23日夕、始まった。台風19号で市内の広範囲が被災し、点灯開始を12月上旬に延期することも一時検討したが、復旧復興への願いを込めて予定通りの日程で開催。長野駅近くから善光寺へ延びる中央通りの街路樹にともった光が街を優しく包み、市民らの心を和ませた。
昨年度に続き2回目。地元の企業、商店会などでつくる実行委員会は災害を受け、被災地支援に当たる市職員や関係者の負担軽減を考えて計画変更を検討。昨年実施した善光寺本堂や境内を光で演出するイベントは中止したものの、最終的に予定通り点灯した。初回より6万球ほど増やした30万球以上のLED(発光ダイオード)が輝いた。
通り沿いのTOiGO(トイーゴ)広場で開いた点灯式には、市内を拠点とするダンスグループが出演。自宅が浸水被害に遭った同市赤沼の丸山信子さん(52)はメンバーの長女(12)と次女(8)の応援に駆け付けた。夫(50)が営むリンゴ園も被災し、市内の実家での避難生活が続く。「中止にならなくてよかった。日常に戻れる気がします」。2人が踊る姿を手をたたきながら見守った。
妻と訪れた市内の会社員長沢豊さん(40)は、取引先に被災した人がおり「自分もできることから地域を明るくしていきたい」。事務局の市村洋さん(48)は「開催することに葛藤もあったけれど、被災地に寄り添うという決意にしたい。ほっとした表情をする人たちを見て、実施して良かったと思った」と話した。
来年2月11日までの毎日午後5〜10時に点灯する。