小松市で毎年5月に行われるお旅まつりで、来年の曳山(ひきやま)子供歌舞伎の当番町である材木町が人手不足を理由に単独での上演を見送り、同町を含む7町で初めて子供役者や若衆を募ることになった。旧市街地の8町でつくる小松曳山八町連絡協議会が「八町子供歌舞伎」として、もう一つの当番町である西町とともに、豪華絢爛(ごうかけんらん)な曳山を舞台に地元の子供役者が2演目を披露する伝統をつなぐ。
26日に市役所であった12月補正予算案の発表で和田慎司市長が説明した。
お旅まつりは小松市の本折日吉、菟橋両神社の春祭り。子供歌舞伎は250年近い伝統を誇り、協議会によると、昭和20年代半ばからは曳山を持つ旧市街地の大文字、寺、龍助、西、八日市、京、中、材木の8町のうち2町が当番制で上演する。
出演するのは地元の小学3~6年生を中心とする女子児童で、近年は少子化に伴う人手不足で町外からの参加も認められてきたが、1町のみの上演で終わる年もあった。
材木町が上演を見送ることを受け、協議会は夏ごろに役員会を開いて対応を協議。来年の小松市制80周年に花を添えるため、単独で上演する西町を除く7町から人手を募って2演目を維持することを決めた。
八町子供歌舞伎はお旅まつりのメイン行事に位置付け、各町の曳山が市中心部に集う「曳山曳揃(ひきぞろ)え」の際に7町の曳山のいずれかを舞台に上演する。曳山交流館みよっさでも披露する。
協議会長の福島利雄さん(72)=西町=は「当番町が単独で子供歌舞伎を維持できないのは残念だが、人手が足りなくなる中、各町が連携して伝統を継承していくモデルになる」と話している。
今年の曳揃えでは、材木町と中町が人手を確保できず参加を断念した。来年のまつりで全8基が揃うかどうかは決まっていない。