福井県内最大の養殖トラフグの産地、敦賀市西浦地区で、冬の味覚「敦賀ふぐ」の出荷が本格化している。同市色浜などでは12月4日、地元漁師らが力強く飛び跳ねる敦賀ふぐを次々と水揚げした。忘年会シーズンにかけて出荷のピークを迎える見込みだ。
敦賀ふぐは市海水養魚協会に所属する漁師9軒が生産しており、10月半ばに出荷が始まった。例年、12月初旬から年末にかけて出荷の最盛期を迎え、今年は年末までに約5万匹の出荷を予定する。来年3月までに7万匹を見込む。
全国的にトラフグ養殖は九州や四国の温暖な海域が中心だが、日本海の低水温で育った敦賀ふぐは身の締まりの良さが特長。出荷先は関西が8割を占め、県内や東京、名古屋でも消費されている。
冬が中心の出荷作業は荒天の中で行われることが多く、この日も強い雨が降る中、色浜の漁師、山本彰彦さん(36)のいけすから、1年半をかけて約40センチに育った900匹を水揚げした。
作業には山本さんのほか、7人が参加。岸壁横に浮かぶいけすから網で敦賀ふぐをすくい、5匹ずつかごに入れると、別の漁師がすばやくはかりに載せ、県漁連敦賀支部の担当者が重量や数などを確認。その後、フグは鮮魚運搬用の大型トラックに積まれ、関西方面に向かった。
3年ほど前にサラリーマンを辞め、父の跡を継いで漁師となった山本さんは「養殖フグは寄生虫や病気に弱いが、きれいな敦賀湾で育った敦賀ふぐはトラブルが少なくストレスもない。知名度を上げて、より多くの人に安心でおいしいフグを食べてもらいたい」と話した。
敦賀ふぐを食べられる店は、敦賀観光協会のホームページや敦賀商工会議所が刊行した冊子「つるが旨(うま)いもんマップ」などに記載されている。