越前水仙と越前焼をつなぐ役目を担う井上さん=福井県越前町小曽原の越前陶芸村文化交流会館

越前水仙と越前焼をつなぐ役目を担う井上さん=福井県越前町小曽原の越前陶芸村文化交流会館

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越前焼と越前水仙がコラボ 福井県、水仙まつり合わせ越前陶芸村で企画展

福井新聞(2019年12月20日)

 越前水仙と越前焼。福井県越前町を代表する二大ブランドのコラボが楽しめる企画展を、水仙まつりに合わせて越前陶芸村文化交流会館(同町小曽原)が開いている。10回目となる今回は、13人の越前焼作家が個性的な約80点の花入れや一輪挿し、つぼを出品した。いくつかの作品に水仙を生け、両者の魅力をつなぐ役目を担っているのが、華道歴57年の草月流師範、井上和萠さん(77)だ。

 越前水仙の魅力を「1本で生けても、100本の束を飾ってもさまになるところ」と井上さん。越前焼の良さを最大限に生かすよう、出品された花器と一つ一つ向き合い、イメージを膨らませてデッサンを描き、花を調達して生け花を仕上げる。

 「いい作品を作るのは難しい。だけど尻込みしていたらいけない」と師範としての誇りをのぞかせる。「見に来た人が気軽に『私も家でやってみたい』と思えるように生けることが、器を生かすことになる」と思いを込める。

 企画展の回を重ねるごとに、作家が井上さんに花を生けられることを意識して作った花器を出品するようになってきたそうだ。越前焼の伝統工芸士、近藤修康さん(49)もその一人。「(花器は)口が力強くないと花を支えられない」といった井上さんの何げない一言を聞き逃さず、次の作品作りに生かそうと心掛けてきた。

 「かつての越前焼は水がめやつぼという、暮らしに密着した器だった。美の表現に関しては、まだまだ磨く余地があると実感させられる」と近藤さん。井上さんの手によってさまざまな表情を見せる水仙の花のように、越前焼の担い手の意識もまた、変化し続けている。

 企画展「水仙と越前花器の甘いささやき展」(福井新聞社後援)は27日まで。

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