加賀野菜「二塚からしな」の出荷量は今季、昨年の1・7倍の約300キロとなる見通しとなった。生産農家はこれまで、JA金沢中央野菜生産部会長を務める海道順一さん(81)ただ1人だったが、今季から新たに60代の男性1人が加わった。出荷が本格化した25日、金沢市佐奇森町のほ場で海道さんは「後継者ができて安心した」と充実した表情で語った。
今季から栽培を始めたのは村田優さん(64)=西泉2丁目=である。5年ほど前に金沢農業大学校を卒業し、当時のJA金沢中央の二塚支店長が「海道さんの後継者をつくりたい」と生産を打診したところ、快く引き受けてくれたという。昨年に試作し、今年から市場出荷することになった。
二塚からしなはワサビに似たピリリとした辛みと、鼻を突く香味が特徴。二塚地区を中心に大正から昭和30年代後半まで栽培されたものの、次第に途絶えた。1998年に加賀野菜の認定を目指して海道さんが栽培を始め、約40年ぶりに復活した。2015年は出荷農家が4戸あったものの、16年から海道さんが1人で栽培を続けてきた。今季は海道さんが6アール、村田さんが4アールを栽培している。
二塚からしなは、種を使ったドレッシングやマスタードが商品化されるなど、販路が広がった。
今季の出来栄えについて海道さんは「今年は雨が多くて成長が遅れたから、いつもより辛みが強い。圧雪による葉の傷みもない。冬季限定の独特の味を楽しんでほしい」と話す。出荷は3月下旬まで続く。