国内トップシェアの梵鐘(ぼんしょう)メーカー、老子製作所(高岡市戸出栄町、元井秀治社長)は8日、同社工場で今年初めての鋳込み作業「初吹き」を行った。職人たちが気持ちを新たに高岡銅器の伝統技術を生かした作業に取り組み、真っ赤に溶けた青銅を鋳型に流し込んだ。
鋳込んだのは、氷見市堀田の浄土真宗本願寺派明善寺(山嵜正真住職)が発注した直径75センチ、高さ138センチ、重さ525キロの梵鐘。親鸞聖人750回大遠忌法要の記念事業として再鋳造された。
山嵜住職ら関係者10人が工場を訪れ、鋳型に刻まれた文字や文様を確認し読経した。職人たちは約1200度まで熱して溶けた銅やスズなどの合金を炉から取り出し、「取鍋(とりべ)」と呼ばれる容器に移した。鋳込みに適した約1100度まで冷ますと、クレーンを使ってゆっくりと鋳型に注いだ。研磨などの仕上げ作業の後、3月に完成する予定。
山嵜住職は「地域の協力の下、新調できるのは感慨深い」とし、元井社長は「初吹きで県内の寺の梵鐘を手掛けるのは久しぶり。良いスタートを切れた」と話した。