小林かいちの絵はがきや絵封筒が並ぶ展覧会場=新発田市の蕗谷虹児記念館

小林かいちの絵はがきや絵封筒が並ぶ展覧会場=新発田市の蕗谷虹児記念館

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"謎の絵師"脚光再び 新発田で図案家「小林かいち」展

新潟日報(2020年1月9日)

 大正後期から昭和初期に活躍した図案家、小林かいち(1896~1968年)の絵封筒や絵はがきなどの作品を紹介する「小林かいちと日本のアール・デコ展」が新潟県新発田市の蕗谷虹児記念館で開かれている。大正ロマンを感じさせる叙情性とモダンなデザインで若い女性を中心に人気を博したが、経歴など分からないことが多く、"謎の絵師(デザイナー)"として紹介されている。

 かいちが活躍した時代に流行したアールデコは、フランスで生まれた直線的で幾何学的な装飾様式で、工芸、ファッションなど幅広い分野で大衆的デザインとして広まった。かいちは西洋のアールデコ様式に日本の文化や叙情性を取り入れたデザインの絵はがき・絵封筒を数多く残した。木版画で華奢な女性や、トランプ、十字架など当時流行のモチーフのほか、舞妓や観光名所などを幅広く描いている。

 展示しているかいちの作品143点は、すべて村上市のコレクター瀬賀美樹雄さん(58)の所蔵品。瀬賀さんは10年ほど前から古書店などで収集を始めた。「西欧と日本の融合するデザイン性に引かれた。今なお斬新で、鮮烈な色彩を組み合わせているところも魅力」と語る。

 同館学芸員の伊藤千佳子さん(45)は「かいち作品は昭和に入り、伝統的なものが見直されるにつれて忘れられてしまった」と語る。近年欧米の美術コレクターに高く評価され、日本でも再評価が進んでいる。2008年には遺族が名乗り出たことでようやくプロフィルが分かったものの、経歴には不明な部分も多いという。

 展示は「かいちをめぐるミステリー」など7章で構成、作品が生まれた時代の背景や女学生たちの「お手紙文化」などをパネルで解説している。絵封筒に入っていた当時の女学生の手紙も展示されている。

 展覧会ではほかにも、同時代を生きた新発田市出身の画家・蕗谷虹児の挿絵や、新潟市の市民サークル「新潟ハイカラ文庫」所蔵の時計や食器などアールデコ様式の日本の小物も鑑賞できる。

 3月1日まで。一般・大学生500円、高校生200円、小中学生100円。1月13日、2月11日の各午後2時から学芸員による作品解説会が行われる。問い合わせは同館、0254(23)1013。

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