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九谷焼製土所 小松の産業観光に活用へ

北國新聞(2020年1月10日)

 九谷焼の原材料「花坂陶石」を粘土に加工する二股製土所(小松市立明寺町)が新年度から、産業観光に活用される。県九谷窯元工業協同組合が市の支援を受けて施設内に見学スペースや解説パネルを設け、観光客を受け入れる。日本遺産「小松の石文化」の構成文化財の一つである花坂陶石の加工過程を見てもらい、石川が世界に誇る「ジャパン・クタニ」と日本遺産の発信を強化する。
 組合によると、九谷焼の粘土を作るのは二股製土所を含め2軒しかない。組合は2019年5月に小松市若杉町に製土所を備えた「九谷セラミック・ラボラトリー(セラボ・クタニ)」をオープンさせたが、粘土の製造工程の公開は陶石の破砕がメインになっており、一連の作業を間近で見学できるのは二股製土所が初めてとなる。
 二股製土所は明治創業で、現在は4代目の二股裕(ゆたか)さん(61)と妻慶子さん(55)が切り盛りしている。施設内で陶石を細かく砕き、粘土分と砂分を分離する「水簸(すいひ)」や、余分な鉄分を取り除く「脱水」、空気を抜いて固める「土練(どれん)」といった工程を経て粘土に仕上げ、九谷焼作家の注文に応じている。
 同製土所によると、粘土の生産は昭和40年代がピークで、施設は大正期から順次、建て増しされた。近年は老朽化が進み、2018年の大雪では屋根が壊れ、一時、生産中止を余儀なくされたこともあった。
 組合は観光客の受け入れに向け、傷んだ場所の修繕を行い、段差やコンクリート床のくぼみなどを解消。工程ごとに見学スペースやパネルを整備し、施設の外に案内看板を設置する。整備費には小松マテーレ(能美市)の企業版ふるさと納税が充てられる。組合は観光客対応としてボランティアスタッフを募る方針だ。
 製土所の近くには、石切り場跡の洞窟内に仏像や鬼の像を置いて地獄絵巻を演出した名所「ハニベ巌窟(がんくつ)院」があり、組合や市は、東京五輪・パラリンピックや2023年春の北陸新幹線敦賀延伸に向け、一帯を「石文化」の観光拠点に位置付ける。
 二股さんは「花坂陶石が粘土に加工される経過を見学してもらい、九谷焼に関心を持つ人が少しでも増えてくれるとうれしい」と話した。

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