初めて刊行した単行本を手に、喜びや今後の意欲を語る御池さん

初めて刊行した単行本を手に、喜びや今後の意欲を語る御池さん

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滑川舞台に「乃木坂」漫画 地元出身の御池さん執筆 第1巻刊行

北日本新聞(2020年1月16日)

 滑川市出身の漫画家、御池慧(みいけけい)さん(30)が初の単行本「乃木坂の詩(うた)」第1巻を講談社から刊行した。人気アイドルグループ「乃木坂46」の楽曲の歌詞と、主人公の心情をリンクさせた作品で、同グループをプロデュースする秋元康さんが企画・監修した。舞台は同市旧町部で、櫟原(いちはら)神社や滑川高校など市民になじみ深い場所が何度も登場する。

 御池さんは滑川市上梅沢出身で滑川中、滑川高、法政大(東京)を卒業した。絵が得意だった兄の影響で、幼い頃から自由帳にイラストを描いて楽しんでいた。高校時代、ぼんやりと漫画家への道を志し始めた。

 同大在学中、講談社に何度か作品を持ち込むうちに認められ、担当編集者が付いた。卒業後は他の漫画家のアシスタントを務めながら創作に励んだ。2015年、週刊少年マガジン編集部の新人賞を受賞した「色は匂へど」でデビュー。続く「リア充の衝突」では、富山県の高校生カップルの日常を描き、週刊少年マガジンなどで掲載された。

 乃木坂の詩は18年ごろから構想を進めた。ヤングマガジン編集部内で秋元さんとのコラボレーション企画の話が持ち上がり、透明感のある絵や純朴なヒューマンストーリーが得意な御池さんに白羽の矢が立った。

 物語の舞台は都会ではなく田舎にしようと決めた。自身が最もリアルに想像できる「田舎」は、高校まで過ごした滑川市だった。「海も山も近く、自然が豊かで愛着がある。地元の人にも楽しんでもらえる作品にしたかった」。18年に帰省した際、思い出の地を巡るうちアイデアが膨らんだ。

 作品は、勉強や部活動に一生懸命になれず、日々を漫然と過ごす男子高校生が主人公。唯一夢中になっていた動画投稿サイトの女性歌い手と近くの神社で出会い、関係を深めていくことで、自身の人生観を見つめ直すストーリーだ。2人が出会う櫟原神社(神明町)をはじめ、滑川高校(加島町)や中滑川駅(田中新町)などが何度も登場する。

 昨春、ヤングマガジンで連載された。担当編集者の岸本翔太さん(28)は「キャラクターがみんな真っすぐぶつかり合っていて、高校生ら若い世代がハマる」と評価する。御池さんは「単行本刊行は大きなイベントの一つなのでうれしい。人間の複雑な感情をしっかりと描ける漫画家になりたい。今後も納得いくまで創作活動を続けたい」と話している。

 第1巻はB6判196ページ、630円(税別)。県内をはじめ、全国の書店やオンラインストアで販売している。第2巻は今年春に発売を予定している。

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