冷たい水の中で威勢良く綱を引き合う男衆=1月19日、福井県美浜町日向

冷たい水の中で威勢良く綱を引き合う男衆=1月19日、福井県美浜町日向

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勇壮「水中綱引き」 福井・美浜で伝統行事 豊漁息災願う

福井新聞(2020年1月20日)

 福井県美浜町日向に約380年前から伝わる国の選択無形民俗文化財「水中綱引き」が1月19日、区内の運河で行われた。鉢巻き姿の男衆が冷たい水に入り、切れるまで綱を引き合い、1年の豊漁と無病息災を祈願した。

 水中綱引きの始まりには諸説あるが、1635年に小浜藩主の酒井忠勝が村の願いを受けて日向湖と若狭湾を結ぶ運河を開削し、村人が完成を祝って行ったのが始まりとされる。一方で、運河に現れた大蛇を退治しようと大綱を張ったという故事に基づくとの説もある。

 この日は午前6時から、男衆が区内の稲荷神社で長さ約50メートル直径約20センチの綱を約3時間かけて編み上げた。午後2時すぎ、鉢巻きを締め、白いパンツと鉢巻き姿の男衆約30人が運河に架かる橋の上に登場。大漁旗が風になびく中、叫び声を上げて気合を入れ、欄干から次々に勢いよく運河に飛び込んだ。

 男衆は運河を境に自分の住むエリアで東西に分かれて大綱を引っ張った。東西とも「よいしょ、よいしょ」と威勢のよい掛け声を上げながら、約10分ほどで綱をちぎった。

 橋の上や両岸には、多くの区民や観光客が駆け付けにぎやかな雰囲気。運河の上には色とりどりの大漁旗が飾られ、見物客は活気を感じながら勇壮な男衆の姿に見入っていた。

 身を切るような冷たい水と風で、男衆の体は真っ赤に。日向青年会の男性は「無事に終わってほっとした。この冬はブリが豊漁なので、この状態が続いてほしい」と話していた。

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