ひな祭りを前に、下伊那郡阿智村昼神温泉郷の旅館「石苔亭(せきたいてい)いしだ」に恒例のひな人形計約2千体が登場した。同温泉郷で飾られる守り神・湯屋守(ゆやもり)様をモチーフにした厄よけの神「湯守大権現ヤークーさま」が今年から新たに鎮座。21日には、命名した地元の阿智第三小学校6年生7人が旅館を訪れ、わらでできた神様を興味深げに眺めた。
同旅館は、児童から寄せられた約20の候補名を、映画「もののけ姫」などで知られる宮崎駿監督に見てもらった。ヤークーさまは井上海音(かいと)君(12)が「厄を食べる」との意味を込めて提案。同旅館の逸見(へんみ)貴子社長(46)は監督と交流を続けており、監督は「分かりやすい」と推したという。
湯屋守様よりも大きい、高さ2・5メートルのヤークーさまを見た井上君はこの日、「すごいな。多くの人に見てほしい」と笑顔だった。
阿智村と周辺の同郡平谷、根羽村と飯田市を通る国道153号沿いの宿泊施設や民家などは、地域を盛り上げようと十数年前からそれぞれひな人形を公開している。その取り組みに新たな名物を―と考えた同旅館が、昨年末からヤークーさま作りを始め、児童に命名を依頼した。
展示は4月3日まで。午前10時〜午後5時は宿泊客以外も見られる。