作業小屋で客に配送するリンゴを確かめる北沢さん=28日、長野市赤沼

作業小屋で客に配送するリンゴを確かめる北沢さん=28日、長野市赤沼

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実家のリンゴ、販路をSNSで開拓 長野の被災農家長男

信濃毎日新聞(2020年1月31日)

 長野市赤沼のリンゴ農家の長男北沢一樹さん(28)=東京都渋谷区=が、昨年10月の台風19号で浸水被害に遭わず収穫できた実家のリンゴの販路をSNS(会員制交流サイト)を使って広げている。元々は出荷されない予定だったが、両親が大切に育てたリンゴを多くの人に届けたいと考えた。友人のつてや口コミで県内外から注文が入るようになり、新たなつながりや人の温かさに励まされている。

 実家は大正時代から続く「キタイチ果樹園」。両親が切り盛りするが、台風ではリンゴ畑約2・8ヘクタールの3分の2以上に浸水。自宅も1・7メートルほど水に漬かったため、同市豊野町での仮住まいを余儀なくされた。軽トラックや枝切り用のチェーンソー、農薬を散布する機械なども全て使えなくなった。

 東京で企業の事業開発を支援する会社を営む北沢さんも、仕事を休んで駆け付けた。だが、10、11月は自宅や農作業小屋の泥のかき出しや片付けで手いっぱい。12月上旬から、高台にあり浸水しなかった畑で、ようやく収穫に取り掛かることができた。今年1月初旬から、フェイスブックやツイッターでリンゴを収穫できたことや被災の状況などを発信し、販路を探し始めた。

 すぐに反応があり、北海道や沖縄を含む一般家庭に加え、京都の青果店、神奈川のケーキ店などからも注文を受けた。現在は1日30件ほど、各地に配送する。味を気に入ってもらい、来季の注文につながったケースもあったという。購入した県外の女性の娘から「おいしくて毎日食べている」という感想と復興を願う手書きの手紙も届いた。

 「被害の大きさに絶望を感じていたが、リンゴを食べて応援したり、好きになったりしてくれる人がいる」。北沢さんは感謝する。

 畑は泥のかき出しがまだ途中だ。1月末ごろから、実に満遍なく日が当たるように、枝切りをする必要があるが、手を付けられずにいる。周囲にはやむを得ずリンゴ農家を辞めた若手もいる。北沢さんは本業を休んでリンゴの販売に専念しているが、「今は目の前のリンゴを多くの人に届けることで精いっぱい」。今後は見通せていない。ただ「今回できたご縁を大切に、来年以降もつながりを持ちたい」と話す。

 北沢さんによると、リンゴは通常収穫するより長く枝になっていたため、例年より甘みが増しているという。涼しい場所で保管すれば収穫から2カ月ほどは持つといい、販売は2月いっぱいまでを予定する。問い合わせは北沢さん(電話090・5531・8077)へ。

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