3月21日に迫った富山市内路面電車の南北直通運転開始に向け、試運転が1日未明、富山駅で行われた。LRT(次世代型路面電車)の低床車両が駅の北口と南口を行き来し、信号の動作などを確認。市の「コンパクトシティー」構想の総仕上げとも言える事業は、完了のカウントダウンに入った。
富山市が進める南北接続事業は富山駅北側の富山ライトレールと、南側の富山地方鉄道のレールを駅の高架下で結ぶ。2013年に始まった第1期事業は15年3月に完了し、富山地鉄の市内電車が富山駅高架下に乗り入れた。現在は市内電車とライトレールをつなぐ第2期事業を進めている。総事業費は約40億円。
試運転は1日午前0時45分ごろから約2時間にわたって実施した。駅南側を走る低床車両の「セントラム」と「サントラム」は南富山駅前-岩瀬浜間を往復。富山ライトレールの「ポートラム」は城川原駅を出発し、富山駅の北口と南口付近を行き来した。市職員や富山地方鉄道、富山ライトレールの関係者ら約50人が作業に当たった。目立ったトラブルはなかったという。
鉄道ファンも作業を見守り、金沢市から訪れた金沢大4年の清水健介さん(22)は「やっと南北がつながった」と興奮気味に話した。
試運転は4日未明にも行い、通信設備が正常に作動するかを確かめる。今後、各駅や停留所に時刻表と路線図を掲示し、開業に備える。
開業後は全長15・2キロのLRTネットワークが誕生し、市北部と中心市街地のアクセスが向上する。富山市路面電車推進課の坂本信一施設係長は「関係者と連携し、無事に開業できるよう準備したい」と話した。