特別養護老人ホームの利用者(左)と木片にやすりをかける高遠高校の生徒=3日、伊那市

特別養護老人ホームの利用者(左)と木片にやすりをかける高遠高校の生徒=3日、伊那市

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長野の折れたリンゴの木 多くの手を経てキーホルダーに

信濃毎日新聞(2020年2月4日)

 台風19号災害で折れた長野市長沼地区のリンゴの木でキーホルダーを作って寄付を募り、被災地の農業再建支援に充てようと、県作業療法士会(長野市)がプロジェクトを始めた。県内外の木工所が加工し、高齢者施設のお年寄りらがやすりがけの作業に協力する。多くの手を経て新たな命を吹き込まれた木片に触れ、被災地に思いを寄せてほしいと願っている。

 キーホルダーは約1センチ角、長さ5センチほどで、プロジェクト名の「RingonoKi(リンゴの木)」の焼き印が押してある。協力を得られた伊那市と新潟県上越市の木工所2カ所が幹や太い枝から加工。伊那市の地域密着型特別養護老人ホームみのりの杜(もり)を利用するお年寄りや、長野市豊野地区の交流拠点に集う被災住民らがやすりで表面を滑らかに整えている。

 3日はみのりの杜の呼び掛けで高遠高校(伊那市)福祉コースの1年生25人が施設を訪れ、お年寄り10人ほどと作業。やすりがけの後、ワックスを塗って革ひもを通し、約30個を仕上げた。小学5年まで今回被災した長野市古里地区で暮らした宮本真光さん(16)=伊那市=は「折れた木は重みがあり、気持ちを込めて作った」と話していた。

 プロジェクトを発案したのは同会副会長の伝田拓男さん(44)=須坂市。長野市の避難所などで被災者支援に携わり、畑で折れた木を見て活用を考えた。同市津野のリンゴ農家などに声を掛けて折れた木を分けてもらい、昨年12月ごろ製作を始めた。

 キーホルダーは1個100円からの募金形式でお礼に渡す。みのりの杜の他、長野市青木島の「おやきの店ほり川」、同市川合新田の長野日産自動車長野大橋店などに置く。11日に伊那市高遠町の鉾持(ほこじ)神社一帯で開く「だるま市」でも扱う。募金は長野市長沼地区で畑の復興に取り組む「津野復光隊」と「TEAMSHIRO(チームシロウ)」に寄付する予定だ。

 県作業療法士会は木材加工などの協力も求めている。問い合わせは伝田さん(電話090・1865・1976)へ。

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