ペットボトル入りの「だし」(万能調味料)が並ぶ自動販売機が長野市と松本市に登場し、話題になっている。広島県江田島市のしょうゆメーカーが全国展開する自販機で、長野県内には現在4台。お茶のようにも見える500ミリリットル入りボトルが並ぶ珍風景に、「気になる」との声も上がっている。
商品名は「だし道楽」で1本700円。焼いたトビウオが丸ごと1匹入った「焼きあご昆布入り」と、ソウダガツオが原料の「宗田節入り」の2種類がある。薄めてそばやうどんのつゆにしたり、煮物の味付け、卵かけご飯のだししょうゆにしたりと、さまざまな使い方ができるという。
製造する二反田醤油(しょうゆ)は1991年創業。共働きの増加や外食産業が広がる中、「しょうゆが売れにくくなり、それに代わる便利な調味料を開発した」というのがこの商品。「24時間買えるように」と2007年に広島県呉市に自販機を置くとSNSなどで話題になり、現在は16都道府県、135台に。同社の製品売り上げの6、7割を占めるまでになっているという。
信州人の反応はどうか。「新しい物が好き」という須坂市の男性会社員(47)は1月下旬、長野市南千歳のながの東急百貨店前で1本購入し「簡単そうな炊き込みご飯でも作ろうかな」。普段は削り節や顆粒(かりゅう)だしを使っているという同市三輪の主婦(62)も「面白いから話の種に」と友人用と合わせて2本買った。
一方でこんな声も。今年1月にSNSでこの自販機の存在を知り、「一体、何なんだ」と驚いたという「だしソムリエ」1級の資格を持つ諏訪市のそば店経営、田中泰章さん(53)は「素材からだしを取るおいしさを伝えている立場からすると、ちょっと寂しいねえ」。