福井県南越前町上野に江戸時代から伝わる生け花の技法「上野古典立華」伝承展が2月22、23の両日、同町南条文化会館で開かれる。風雪に長年耐えた古木の枝ぶりを生かし、大自然の姿を表現した作品18点が並ぶ。
約160年前に上野集落にある徳正寺の住職らが京都で学んだ技法が起源。寺の法要で仏前に供える生け花として住民に受け継がれ、2007年に町無形文化財に指定された。現在は上野、牧谷集落の50~80代の12人でつくる「上野華道奨励会」が、戦前から続く年1回の展示を続けている。
見どころは、作品の軸となるマツやヒバなどの古木の枝ぶり。作品全体で山水画のような自然美を表しており、花材それぞれに奥山、そこから流れ出す谷川や岩石、谷間の草花などの"役割"があるという。
大きな作品は高さ約160センチになり、21日は会員が会場で搬入や仕上げに取り組んだ。代表の野村七衛さん(89)は「伝統の型を守りながらも、その中に光る会員の個性を楽しんでもらいたい」と来場を呼び掛けている。