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浮世絵の鬼才、月岡芳年の200点 福井市美術館で企画展

福井新聞(2020年2月23日)

 江戸末期から明治中期にかけて活躍した浮世絵師、月岡芳年(よしとし)(1839~92年)の40年の画業を網羅した企画展「芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」が2月22日、福井県福井市の福井市美術館で開幕した。華麗な色使いの武者絵や綿密な取材に基づく歴史画、優美な美人画からセンセーショナルな「血みどろ絵」まで約200点が並び、「最後の浮世絵師」と評される圧倒的な画力が来場者を引きつけている。

 12歳で幕末の人気絵師歌川国芳に入門した芳年は、類いまれな画力を開花させ15歳の若さでデビュー。浮世絵が需要を失いつつあった時代に、大衆のニーズを捉えて多彩なジャンルで独自の画風を確立した。

 明治維新の動乱期には時代の不穏な空気を反映し、歌舞伎の残酷シーンなどをリアルに描いた「血みどろ絵」を発表。芳年といえば一般的には血みどろ絵のイメージが強いが、近年高く評価されているのは、武者絵などでみられる動きの瞬間を切り取ったような躍動感あふれる構図と描写力。昭和期以降に発展した漫画や劇画の先駆者との評もある。

 展示作品は質、量とも世界屈指とされる京都市の日本画家西井正氣さん(87)のコレクションから厳選した。「英名二十八衆句(えいめいにじゅうはっしゅうく)」「魁題百撰相(かいだいひゃくせんそう)」「月百姿(し)」などそろい物の代表作を状態の良い初摺(しょずり)で網羅している。初日は西井さんが解説を行い「小さな画面に大きなドラマを表現した大天才。絵と酒を愛し、80人の弟子に慕われた人間性にもほれて、半世紀以上前から作品を集め始めた」と語った。会場を訪れた福井市の彫刻家(27)は「構図や画風が現代の漫画にそのまま使えそうなくらいダイナミック。デザイン的でかっこいい」と驚いていた。

 3月29日まで。一般千円、高校・大学生800円、小中学生500円。2月29日午後2時からは、中山道広重美術館元学芸係長の前田詩織さんと福井市美術館の石堂裕昭館長の対談がある(聴講無料)。問い合わせは福井市美術館=電話0776(33)2990。

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