福井県小浜市鯖街道ミュージアムが、同市広峰の鯖街道の起点「いづみ町商店街」に完成し、「サバの日」の3月8日にオープンする。小浜と京都が結ばれたことで育まれた、日本遺産ならではの文化・歴史をパネルや映像で紹介。サバが飛び出して見えるトリックアート、鯖街道を模した広場も整備された。新たなまち歩きの拠点として期待される。
商店街を通る小浜縦貫線の拡幅工事に伴い、もともと商店街にあった鯖街道資料館が取り壊された。地元住民からの提言を受け、新たな市施設としてミュージアムが整備された。敷地面積は約450平方メートル。展示施設は木造平屋約63平方メートルで、広場は約350平方メートル。事業費は約6300万円。6日に報道陣に公開された。
展示フロアは従来の3倍に拡大され、小浜から京都まで鯖街道をたどるパネルを展示。小浜と京都で変わるサバの食べ方、北前船の航海安全を祈願した船仏、多彩な伝統行事など、海、里、山、京都それぞれに伝わる鯖街道の育んだ歴史、文化が一目で分かる。和久里壬生(みぶ)狂言、放生祭(ほうぜまつり)など祭礼、伝統行事は映像で紹介している。
このほか、北前船主が奉納した全国でも珍しい大船団の絵馬、鯖街道越えに使った牛馬のくらや網かごも展示。交流フロアもあり、広場とともに市民に貸し出して活用する。
広場では、一定のアングルで撮影するとサバが飛び出すように見えるトリックアートがお出迎え。「針畑(はりはた)越え」「若狭街道」という二つの鯖街道を模した築山などがあり、京都側の終着点までの道のりを知ることができる。
開館時間は午前9時~午後5時。入館無料で火曜休館。3月中は市が管理し、4月から小浜地区まちづくり協議会に運営を委託。同協議会会員らが常駐し、施設を案内する。
市文化課は「日本遺産ならではの鯖街道の奥深い歴史を知ることができる。小浜のまち歩きの盛り上げにつながれば」と話している。
8日の開館に合わせて市内で開催予定だった「日本遺産文化フェスティバル」は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止となった。