創作に励むアバールさん=志賀町富来地区

創作に励むアバールさん=志賀町富来地区

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スペイン人アーティスト、富来で創作 アバールさん「宝物いっぱいの地」

北國新聞(2020年3月8日)

 能登の豊かな自然と人情味あふれる風土に魅せられたスペイン人アーティストが志賀町富来を拠点に創作活動に励んでいる。1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のポスターを共同制作し、国際的に活躍するタラク・アバールさん(43)だ。「時が止まったような、宝物いっぱいの地」と表現する環境で作品づくりに没頭しながら、能登の暮らしを楽しんでいる。
 スペインの首都マドリード生まれのアバールさんは抽象画をメーンに制作するほか、絵画以外のさまざまな分野で才能を発揮している。これまでに世界40カ国を訪れた。
 2011年、世界のシェフが石川に集うイベント「Cook It Raw(クック・イット・ロー)」でプロデューサーを務め、能登の風土に強く引かれた。その後、語学留学した金沢のホームステイ先で富来を紹介されて気に入り、16年から日本の拠点と定めた。
 現在借りている空き家は、携帯電話の電波も届きにくい山あいにあり、制作に集中するにはもってこいの環境。薪ストーブを置いた和室で過ごしている。
 普段は朝6時に起きて、周辺の山を眺めながら散歩し、座禅やヨガも行う。時には少し離れた海まで足を伸ばす。時間を忘れ、思索にふけるゆったりとした暮らしの中で、創造のヒントが生まれるという。
 さらに気に入ったのが、能登の人とのざっくばらんな付き合いだ。「故郷のマドリードと同じで、みんなフレンドリー。リラックスできて居心地がいい」
 富来の知人と鍋を囲んで語り合ったり、伝統の冨木(とぎ)八朔(はっさく)祭礼で一緒にキリコを担いだり、地域になじんでいる。
 まれびとの存在は地域にも刺激を与えている。親交のある富来公民館長の松村俊昭さん(66)は「私たちが当たり前に思っている地域の伝統や祭り、豊かな自然の大切さをあらためて思い起こさせてくれる」と話す。
 母国スペインをはじめ世界各国を飛び回る中、1年のうち数カ月は富来に滞在しているアバールさん。今年は4月上旬にいったんスペインへ帰国し、八朔祭礼の行われる夏にまた富来に帰って来るつもりだとし、「今年もキリコを担ぐのが楽しみ。これからも大好きな富来の暮らしを大切にしていきたい」と語った。

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