輪島朝市で露店を構える海産物店に3月、高校を卒業したばかりの女性が見習いとして加わった。後継者不足に悩む朝市の商店が少なくない中、母が30年近く切り盛りする店を継ぐと心に決め、母や祖母とともに店頭に立つ。「見ていって」「買うてくだー」。3世代の元気な笑顔で、伝統の朝市を盛り上げようと張り切っている。
新戦力に加わったのは、海産物店を営む南谷良枝さん(44)の長女、美有(みゆ)さん(18)。良枝さんは行商を行う母鶴竹友子さん(67)の姿に感化され、1993(平成5)年に「南谷良枝商店」を創業した。美有さんは、その母の店を祖母と一緒に手伝っている。
朝市関係者によると、3世代同時に店の運営に携わるのは珍しい。
美有さんは幼少の頃から朝市で商売する母の背中を見て育った。ソフトボールに打ち込んだ門前高校時代、下宿先から帰宅した休日に店の手伝いをするうち、多くの方に慕われ、頼りにされる母親のようになりたいとの思いを強くした。店を継ぐ決意を固め、今月1日に卒業式を終えるのと同時に早朝から店の手伝いにいそしむ。
母の良枝さんは「跡を継いでくれると思っていなかったので、うれしい。朝市を盛り上げるようなイベントを企画してほしい」と期待を寄せる。祖母の鶴竹さんも「母親の姿を見て接客の大切さを理解している。ぜひ店の看板に成長してほしい」と孫にエールを送る。
美有さんは4月から大阪の飲食店で2年間にわたり修業を積み、接客やイベント企画を学ぶ予定で、「人と話すのが苦手なので克服したい。活気がある朝市にできるように頑張りたい」と意気込みを語った。