長野市の戸隠神社が、中社の大鳥居を建て替える。1937(昭和12)年の建立で、老朽化が進んでいた。解体に向けた神事を27日に行う。来年4〜5月に開く7年目に一度の式年大祭の記念事業などと位置付け、鳥居の前で行う材木加工の見学や、かんなかけ体験会の開催も計画。今年9月末の完成を予定する。
戸隠神社によると、大鳥居は神社に残る江戸時代の絵図などにも描かれており、一定期間ごとに建て替えている。現在の大鳥居は高さ約11メートル、最上部に渡す笠木(かさぎ)の長さ約15メートルで、奥社境内の杉を使って建てられたという。
新調する鳥居も同じ寸法にする。設計を担う地元の建築士宮川和工さん(40)は「80年以上前の(建立に携わった)人がどう考えたか読み解き、再現したい」。当時の設計図などの資料はなく、工事を請け負う建設会社「守谷商会」(長野市)が昨年11月、現地に足場を立てて詳細に採寸し、原寸図を作った。
2月末には材木調達先の奈良県内の製材所で工事関係者らが出席して神事を開催。4月15日から現在の大鳥居を解体した後、材木を運び込み、長野市内の専門の大工が加工する。
水野邦樹宮司は「中社の大鳥居は戸隠神社のシンボル。加工現場の見学などもでき、多くの人に関心を持ってほしい」。県内外の社寺や文化財の修理に関わってきた宮川さんは「これほど大きな鳥居の工事は一生に一度あるかないか」とし、本格的な工事開始を前に気を引き締めている。