70年余にわたって切り盛りした清集館に思いをはせる佐々木さん

70年余にわたって切り盛りした清集館に思いをはせる佐々木さん

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佐久の「清集館」悔い残さず幕 明治時代創業の老舗旅館

信濃毎日新聞(2020年4月1日)

 佐久市臼田にある明治時代創業の老舗旅館「清集(せいしゅう)館」が、このほど閉館した。「いろいろな方がお見えになってありがたかった」。70年余にわたって同館を切り盛りしてきたおかみの佐々木都さん(91)は、そう振り返った。

 佐々木さんは1949(昭和24)年に清集館の跡取りだった故・次男さんに嫁ぎ、「7代目のおかみ」に。近くにかつて県南佐久地方事務所や営林署などの官公庁があったため、役所で働いている人が主な客層だったという。

 木造の旅館は客室が10。宴会などができる広間や地元の名産「佐久鯉(ごい)」の料理を提供する食堂を備えた。「いつも『今』が大事だった」。近くの店で飲んでいる客が帰ってくるのを待って、未明まで起きていることもあった。

 近年、経営が次第に厳しくなっていったという。官公庁の再編や縮小に加え、中部横断道開通により臼田地区を通過する人も増え、今年2月に閉館を決めた。料理担当の長男光昭さん(70)は「かっこいい閉め方じゃない。母には悪いことをしました」と話すが、佐々木さんは「時代の流れでしょうがない。一生懸命やってきたから、悔いはありません」と語る。

 長年にわたり信濃毎日新聞の投稿欄「私の声」への投書やエッセーなどの著作を通じ、女性の生き方や子育てについて発信してきた。「時間ができたので、続けていきたい」と意気込んでいる。

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