天皇行幸の様子を模した列が練り歩く福井県敦賀市刀根の気比神社の春祭りが4月5日、区内で営まれ、独特のいでたちをした子どもたちを中心に無病息災と豊作を願った。
仲哀天皇が敦賀を行幸した際、区内に行在所と呼ばれる仮住まいを設けたと伝わる。春祭りは400年以上続くとされ、12月の神事「みやあげ」とともに、市指定無形民俗文化財になっている。
午前10時半、区の公会堂を列が出発した。先導役の男性は、目や口のように3カ所を切り抜いたむしろと、日の丸の扇を組み合わせた円形の飾りが付いた長さ約3メートルの竹ざおを掲げた。カツラの小枝が付いたかさをかぶり、苗に見立てたわらの束とつえを手にした子ども6人が続いた。
男性が「有情 卯の花 いずれの里」「ウグイス ホトトギス いずれの里」と掛け声を上げ、マスク姿の子どもたちも「ヨーイ」と返した。約270メートル離れた気比神社に到着すると、区民が見守る中で境内を3周し、本殿で神事を営んだ。
参列者から、新型コロナウイルス感染症の収束と感染予防を呼び掛けるあいさつが相次いだ。初の大役を務めた男性は「刀根の里に春が来たと告げる気持ちで声を出した。どんな時でも伝統が続いていくことが大切」と話した。