北陸三大祭りの一つで県指定無形民俗文化財の「三国祭」が新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今年は大幅に縮小されることになった。約260年の歴史を誇る最大の呼び物の人形山車(やま)巡行は取りやめ、神事は縮小して執り行う。山車6基は期間中に各区の格納庫で展示する。
福井県坂井市の三國神社と三国祭保存振興会が4月13日発表した。
三国祭は毎年5月19~21日に開かれ、中日の20日には山車が神社前に集結して三国町旧市街地を練り歩く。例年15~20万人の見物客が訪れ、細い路地に人が密集することなどから感染リスクが高いと判断した。
今年の当番区は岩崎、中元、真砂、下錦、松ケ下の各区と保存振興会。山車の製作は進められているため、19日から3日間、各区の山車蔵で展示する。例大祭などの神事は参列者を絞って行う。
三國神社などによると、山車巡行の中止は戦争の影響による1941~46年のほか、高さ10メートルを超す当時の山車が明治末期から大正初期にかけて、電線が張り巡らされたことで、くぐることができなかった時に中止となった。
3年ぶりの山車番となる岩崎区の区長を務める、保存振興会会長は「山車を出したい気持ちは今でも強いが、諦めざるを得ない状況。囃子(はやし)方の子どもたちも一生懸命練習してきた。昨秋から一丸となって準備してきただけに、残念でさみしい」と無念の思いを語った。
振興会によると、祭り後に山車を取り壊す区があり、製作に時間を要する負担などを考慮し、今年の山車番は来年にスライドさせないことにした。