県内では今春、山菜の出始めが1週間ほど早まっている。暖冬のためか、伊那市の農産物直売所「グリーンファーム」では早くもタラノメやコシアブラが店頭に。4月に入って寒い日が多く、生育が足踏みしているとの見方から「長く楽しめそう」と期待する声もあるが...。
グリーンファームによると今年は既に、天然もので下伊那産のタラノメやワラビ、岐阜産のコシアブラが入荷。担当者は「おそらく大型連休前に入荷の最盛期を迎えるだろう」と予想する。
松本市浅間温泉の直売所では、住民が持ち込んだタラノメやフキノトウを時価販売。近くのホテルも地場産を使ったふきみそやヨモギのてんぷらを宿泊客に提供しているといい、女将の山崎圭子さん(61)は「『季節のものだ』と、とても喜んでもらっている」と話している。
ただ、やはり影を落としているのが新型コロナウイルスだ。例年なら県外客が多いグリーンファームも地元客中心といい、担当者は「ちょっと寂しいですね」とこぼす。
地採りの山菜を提供するため週1回は山に入るという長野市の料理店社長、赤池健さん(67)も11日、市郊外で「5月いっぱいまで山菜採りを楽しめそうだね」と頬を緩めたが、採ったのはてんぷらなどで楽しめるジュウモンジシダやニワトコを腰の籠に半分ほど。感染拡大に伴う外出自粛などで山菜を提供すべき客がそもそも少ないためという。
他にもカンゾウやツクシ、タラノメなどが盛んに伸び始めているのを横目に、「食べてくれる人がいないから張り合いが出ないな」と話した。