店舗の営業を自粛している「てつぱん勝山店」。これまで行っていなかった弁当などのテークアウトで急場をしのいでいる=4月16日、福井県勝山市滝波町2丁目

店舗の営業を自粛している「てつぱん勝山店」。これまで行っていなかった弁当などのテークアウトで急場をしのいでいる=4月16日、福井県勝山市滝波町2丁目

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コロナで打撃の飲食業界を支援 勝山市

福井新聞(2020年4月20日)

 新型コロナウイルス感染拡大は、福井県勝山市が取り組む観光の産業化に打撃を与えている。観光施設の休館などで観光需要がダウンし、特に飲食店の売り上げが激減。新型コロナからのV字回復や、3年後の北陸新幹線県内延伸などに伴う観光客増に対応するには、おもてなしの要となる飲食サービスの維持は重要になる。この危機を乗り越えようと、市などはあの手この手を尽くす。

 ■深刻な売り上げ減
 
 市ではこれまでに、観光客らへのランチ提供を条件に飲食店の改修・改装に400万円を上限とした補助を実施するなどの事業を展開。観光客をもてなすサービスの充実につなげた。

 ただ新型コロナで市内屈指の観光施設、県立恐竜博物館が2月末から休館。観光客を当て込む飲食店のダメージとなった。市商工観光・ふるさと創生課によると、資金繰りに経営安定資金を活用する飲食事業者では今年3月の売り上げが、前年同月比2~3割減になったところが多いという。

 勝山商工会議所のアンケートではさらに深刻な状況が浮き彫りに。回答した13の飲食業者の20%が今年2、3月の売り上げが前年同時期と比べ6割以上減になったとした。4月15日には、はたや記念館ゆめおーれ勝山など市の観光施設も閉鎖。ある市幹部は「より危機的な状況になることも予想される」と話す。

 ■「6万円」使い道も...

 4月13日の会見で山岸正裕勝山市長は、こう力を込めた。「県立恐竜博物館を中心とした観光客をおもてなしするための飲食業が苦戦している。応援していきたい」

 市は中小企業、小規模事業所に経営安定資金の利子を補給する経済対策を実施しつつ、特に飲食店を対象とした下支えも行う。4月からは同会議所などと協力しテークアウトや出前ができる飲食店をホームページで紹介。これらの飲食店で使えるクーポンを全世帯に支給する事業も行う。

 中学生以下の子どもを持つ保護者に対して子ども1人当たり6万円を給付する事業にも、子育て世代の応援以外の狙いがある。使い道は各家庭の自由ではあるものの、市は「市内の飲食店からのテークアウトなどに活用すれば経済の循環につながる」と、市民挙げての支援を期待する。

 ■自助努力も

 店側も自助努力している。鉄板焼きなどの「ダイニング&カラオケてつぱん勝山店」(滝波町2丁目)の店主は「実店舗の営業を自粛し新たに弁当などのテークアウトを始めた」と話す。

 ただ「テークアウトだけでは実店舗の売り上げには遠く及ばない。災難としか言いようがない」と渋い表情。県の緊急事態宣言も踏まえゴールデンウイーク明けの店舗再開を予定しているが「状況は見通せない。6万円給付なども良いことだが、飲食店への直接的な助成も考えて」と訴える。

 手厚い支援を求める声に市はどう応えるのか。水上実喜夫副市長は「新型コロナの影響が収まった後、観光の客足回復の攻勢を仕掛けるには一定の力が必要。飲食業者は観光の産業化に向けた仲間。何とか支えないといけない」とさらなる対策の検討へ力を込めた。

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