捕獲作業を進める猟友会員や金沢東署員=金沢市山の上町

捕獲作業を進める猟友会員や金沢東署員=金沢市山の上町

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卯辰山寺院群 大捕物7時間、クマ捕獲

北國新聞(2020年6月4日)

 3日朝から昼すぎにかけて、金沢市の卯辰山山麓寺院群でクマ1頭が出没し、約7時間にわたって大捕物が繰り広げられた。クマは寺の境内で麻酔銃を使って捕獲されたが、近隣住民は避難し、児童が集団下校する騒動となった。
 金沢市や金沢東署によると、クマは体長1メートル、体重35キロの若い雄で、親離れしたばかりの3歳くらい。けが人はいなかった。
 午前6時25分に小坂神社の参道で目撃されたのを皮切りに、300メートルほど離れた道路や東山2丁目で目撃が続いた。通報を受け、市職員や署員が午前9時5分ごろから捜索を開始、約1時間後に日蓮(にちれん)宗妙圓寺(みょうえんじ)(山の上町)の敷地内から隣接する日蓮宗本法寺(ほんぽうじ)の庭の木へ移る姿を見つけた。
 本法寺は森山町小から約170メートル、馬場小から約450メートル離れた場所にあり、ひがし茶屋街も近い。周辺は卯辰山麓重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に指定されており、両校の児童計約380人は集団下校した。
 午前10時ごろ、本法寺周辺に規制線が張られ、市職員らが通行人に手ぶりを交えて離れるよう呼び掛けた。
 クマは何本かの木を登り移った後、梅の木の上で眠り始めた。署員が付近の民家を回り「麻酔を撃たれたクマが暴れるかもしれないので離れて」と促し、10人ほどが近くの寺へ移動。避難した女性は「クマは木の上でじっとして、くつろいでいる様子だった」と話した。
 住民の避難が完了した午後1時9分ごろ、石川県白山自然保護センター職員が本法寺の屋根から、高さ約2メートルの樹上にいたクマを麻酔銃で1発撃ち、驚いて高さ5メートルほどまで幹を駆け上がったところに麻酔入り吹き矢を2発続けて当てた。クマは木にしがみついていたが約30分後に樹上から落ち、猟友会員が網で捕らえ、駆除した。
 散歩していた女性(76)は「まさかこんな住宅地に出るなんて」と驚き、妙圓寺の男性住職(37)は「子どもたちが登校時に出くわさなくて良かった」と安堵(あんど)した。
 金沢市内では同日、土清水周辺や田上本町でクマの目撃情報が相次ぎ、金沢中署員らがパトロールしている。今年の県内のクマ目撃情報は6月1日時点で50件(前年同期56件)となっている。
 金沢市では昨年6月にも神谷内町の住宅地でクマが捕獲されている。県立大の大井徹教授(動物生態学)によると、5~7月は親離れした若いクマが新しい生活場所を探して放浪する時期という。大井教授は「まだ若くて危険な場所が分からず、餌を探すうちに、市街地に迷い込んでしまったのだろう」と語った。

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