新型コロナウイルスの影響が続く中、江戸時代の流行病に関する歴史資料を紹介する展示「疫病退散―江戸時代の流行病」が6月5日、福井県越前市中央図書館で始まった。当時の庶民が頼った病よけのおまじないが分かる資料も並び、ユニークさを感じる半面で現代人にも通じる治療法がない疫病に対する恐れが伝わってくる。7月1日まで。
江戸末期を中心に和本や古文書など資料13点を展示。当時の国語辞書「倭節用集悉改袋(やまとせつようしゅうしっかいぶくろ)」はさまざまな病の治療法も紹介しており、疫病の天然痘にならないためには「子どもに笠(かさ)を持たせて雪隠(トイレ)をまたがせ、おしっこの粒を竹で3回かき混ぜ、しずくを笠にかけて笠と竹を川に流す」など、おまじないのような対処法の記述が見られる。
湯尾峠(南越前町)の茶屋で売られ、天然痘を封じると全国的に有名だったお札「湯尾峠孫嫡子(ゆのおとうげまごじゃくし)」も展示。長崎の出島から伝わった当時最先端の医学書、地元の有力旗本「金森左京家」の文書に描かれた妖怪アマビコを紹介するパネルなども並んでいる。
同図書館は、幕末や明治期に活躍した地元出身の志士や学者らから寄贈された古い貴重図書を多く所蔵。テーマに沿った歴史資料の展示を定期的に行っている。