住民から提供を受けた生活道具を仕分けるスタッフ=珠洲市大谷町

住民から提供を受けた生活道具を仕分けるスタッフ=珠洲市大谷町

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奥能登国際芸術祭「大蔵ざらえプロジェクト」 家に眠る「宝」続々

北國新聞(2020年6月11日)

 来年秋に珠洲市内で開催される奥能登国際芸術祭(北國新聞社特別協力)の「大蔵ざらえプロジェクト」に共感し、市民から思い出の品などが続々と寄せられている。各家庭に眠る明治期の祭礼の膳椀(ぜんわん)や農漁具など252点が10日までに集まった。関係者は珠洲の歴史や人々の営みを凝縮した最先端のアート作品に仕上げるプロジェクトの順調な出足に手応えをつかんでいる。
 同プロジェクトは来年9~10月の会期中の中心作品となり、大谷町の旧西部小体育館を芸術空間に、海底にある集落で止まっていた時が動きだすさまをイメージした作品づくりを目指す。
 実行委によると、4月中旬から収集を始めたところ各家庭から提供の申し出が相次ぎ、これまでに35軒から受け付けた。新型コロナ感染予防のため自宅で過ごす時間が増え、納屋や蔵の片付けに取り組む住民が増えたことが背景にあるとみられる。
 保管場所の旧大谷保育所には、祭礼時にごちそうを振る舞う「ヨバレ」の膳椀をはじめ、旧旅館の蔵に眠っていた婚礼や宴会用の漆器、「半農半漁」で生計を立てていた集落の住民が使っていた漁船の櫂(かい)や浮き、稲を運ぶ「背負子(せながし)」など多種多彩な生活道具が運び入れられた。
 市民やサポーターの協力を得ながら道具の分類や運搬を進め、年内にも作品制作に着手する。実行委は仕上がった作品を明治から平成にかけての珠洲の人々の暮らしや歩みを浮かび上がらせる「民俗資料館」に位置付け、会期後も常設展示して長く鑑賞してもらう。
 実行委は1年延期となった芸術祭の機運を持続するため、引き続き生活道具の積極的な提供を呼び掛ける。担当者は「予想以上の関心の高さに驚いた。眠ったままの生活道具を新たな地域の宝として発信したい」と話している。

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