のと九十九(つくも)湾観光交流センター「イカの駅つくモール」は20日、能登町越坂で開業した。小木特産のスルメイカの魅力や情報を発信するほか、マリンレジャーの拠点としての機能を持ち、奥能登観光の新たな足場として期待されている。
この日は全国で県境をまたぐ移動が自由になってから最初の週末で、駐車場には富山や神戸など県外ナンバーの車が並び、大勢の客でにぎわった。
午前8時ごろから客が集まり始め、午前10時の開店直前には50人ほどが列をなした。1人目の客に船凍イカ1ケースが贈られた。特産品販売のコーナーでは、スルメイカに合う松波酒造(能登町)の本醸造酒「やわやわ」の試飲やイカの胴に野菜やゲソを詰め、甘酢に漬け込んだ郷土料理「イカの甘酢漬け」の試食も行われた。
施設内には地元産のイカを使った料理を提供するカフェやレストラン、小木のイカ漁の歴史や現状を紹介するコーナーなどが設けられた。九十九湾を巡る遊覧船の乗船やマリンスポーツ体験などもでき、早速スキューバダイビングを楽しむ客も見られた。
県の「県民限定宿泊割」や8月に国が実施を予定する「Go To キャンペーン」など、需要の喚起が進められる中、能登町外の観光関係者からもつくモールに期待する声が聞かれた。珠洲市三崎町雲津で民宿を営む奥野弘吉さん(73)は、「観光客の拠点となる施設が少なかった内浦側が充実し、奥能登全体の利益につながる」と笑顔を見せた。