東御市本海野の旧北国街道海野宿の「ガラス工房橙(だいだい)」で、軒先に風鈴屋台が置かれ、道行く人に涼しげな音色を届けている。色ガラスで模様付けされた黄色や水色の風鈴は約30個。ひとたび風が吹くと「チリンチリン」と幾重にも音色が重なり、夏空に響く。
同工房では、街並みに合うガラス細工で季節感を楽しんでもらおうと、15年以上前から毎年夏に、オーナーの寺西将樹さん(51)が竹やすだれで手作りした風鈴屋台を軒先に出している。寺西さんは「一つ一つ音色が違う風鈴。小さく音を鳴らしてみて気に入ったものを選んでもらえれば」と話す。
例年は大型連休明けから風鈴屋台を店頭に設置するが、新型コロナウイルスの影響による外出控えもあって今季は6月上旬に始めた。9月の終わりごろまで、天気が良く風が強すぎない日に街道沿いに風鈴の音を響かせる。
涼しげな音色に誘われて立ち寄った斎藤美紀さん(53)=埼玉県春日部市=は「子どもの頃はよく縁日で見掛けたっけ」と懐かしがりながら、耳を傾けていた。