新潟県新発田市赤谷の工房で地元女性らが手作りした一点もののクラフトバッグを商品化し、新ブランド「月岡こまち」を立ち上げた。6月から、市内の月岡温泉の一部宿泊施設で販売と無料貸し出しを行っている。評判も上々で、作り手たちは「手作りの味わいを感じてほしい」と話している。
企画したのは、横浜市から市内に移住して同地区を担当した元地域おこし協力隊員の川辺直子さん(49)。3年間の任期を終えた昨年7月、同地でカフェ「あかたにヒュッゲ」をオープンした。
店舗では、手芸好きの地元の主婦ら8人が週1回集まって創作活動に打ち込む「趣味の会」を開催。メンバーが色や太さ、編み方を巧みに組み合わせ、オリジナルの手提げバッグを手作りしている。大きさは縦約15センチ、横約20センチ、幅約10センチで、財布やスマートフォンといった小物入れとして使うサイズに適している。
特徴はクラフト素材の強みである軽さと、飽きのこないシンプルな作り。手作業によるぬくもり、一つずつ違うデザインも大きな魅力となっている。
商品が生まれたのは、川辺さんが今春に月岡温泉で目にした若者の街歩きがきっかけ。浴衣姿で財布やスマホを手にしている様子を見て、「浴衣に合うおしゃれなバッグがあれば、もっと街歩きを楽しんでもらえる」と直感した。市を通じて月岡温泉に手提げバッグの売り込みを打診した。
しかし、新型コロナウイルスの影響で月岡温泉の旅館やホテルが一斉休業するなどし、企画は一時中断。経済活動の再開とともに、ホテル「白玉の湯泉慶」が月岡こまちの販売と無料貸し出しを6月に始めた。若女将の穴澤恵子さん(45)は「お客さまには好評で、最初に仕入れた分は全部売れ、新たに仕入れました。デザインがとてもかわいかったので、私も自分用に買いました」と笑う。
値段はデザインによって異なり、税込みで1980~2530円。あかたにヒュッゲでも取り扱う。
川辺さんは「新作もどんどん制作中。いつか月岡こまちが月岡温泉で街歩きをするステータスになってほしい」とほほ笑んだ。
問い合わせはあかたにヒュッゲ、050(5359)1887(土、日、月曜の午前10時~午後5時)。