日本画や工芸の名品を集めた企画展「山中暦日(さんちゅうれきじつ) ささやかな日常のきらめき」が18日、県水墨美術館で開幕した。同館が収蔵する42点を「雪月風花」「一切衆生」など四つのテーマに分けて展示。日本の自然や風土が織りなす美を伝えている。9月6日まで。
菱田春草や富岡鉄斎らの日本画、山崎覚太郎の工芸など、明治期から現代までの作品を中心に並べた。冨田渓仙の「三保の富士」は、雲の中から屹立(きつりつ)する富士山が群青と緑青で鮮やかに描かれている。加山又造の「牡丹(ぼたん)」は、華麗な花と、たらし込みの技法を使って墨で表現された葉のコントラストが目を引く。
富山市追分茶屋の会社員、藤井勉さん(69)は「作品を前にすると心が清められる」と話した。
新型コロナウイルスによる臨時休館が明けてから最初の企画展。「山中暦日」は人里から離れ山奥でのんびり暮らすことを意味する。桐井昇子学芸課長は「ゆったりとした気持ちで作品の魅力を味わってほしい」と語った。県水墨美術館と北日本新聞社主催。