出湯温泉滞在中の作とみられる折口信夫の書などを紹介する市所蔵品展覧会=阿賀野市外城町

出湯温泉滞在中の作とみられる折口信夫の書などを紹介する市所蔵品展覧会=阿賀野市外城町

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五頭温泉郷ゆかりの書・絵画展 阿賀野・農業歴史資料館

新潟日報(2020年7月30日)

 国文・民俗学者で歌人の折口信夫(釈迢空)や三条市出身の書家・故横山蒼鳳さんの書などを紹介する展覧会が、新潟県阿賀野市の水原ふるさと農業歴史資料館で開かれている。戦中から戦後にかけ、折口が訪れた出湯温泉滞在中の作品のほか、旧笹神村と交流のあった横山さんの温かみのある書など、五頭温泉郷ゆかりの書・絵画作品計約30点を公開している。

 市の所蔵美術品を公開する展覧会の第2弾。文化人に愛された出湯温泉の旅館「石水亭」主人だった故・二瓶文和さんが美術品を寄贈した「二瓶コレクション」と、旧笹神村が収蔵した横山さんの作品を紹介している。横山さんの書は市役所笹神支所で少しずつ展示されてきたが、まとまった形での公開は初めて。

 二瓶コレクションコーナーでは、折口作品をメインに歌人・會津八一の書や阿賀野市出身の日本画家・高橋耕雲の掛け軸などを展示。折口は1945年1月、民俗学者の柳田国男の紹介で神経痛の療養のために出湯温泉を訪れた。その後、最愛の弟子で養子の春洋(はるみ)が戦死した後も3回にわたって出湯を訪れ、心身を癒やしたという。「ねこねずミ」で始まる書には、「いでゆ」の文字があり、滞在中の作とみられる。

 横山さんの作品は、「米」「土のなかにいっぱい生きものがいる」など大小15点を展示。85年、出湯から村杉までの約5キロメートルの林道「やまびこ通り」開設に合わせて行われた句碑の整備に横山さんが関わったことで交流が深まり、しばしば村を訪れた。市所蔵の書は全部で50点ほどあり、今後3回に分けてすべて紹介する予定だ。

 新潟市中央区の無職男性(68)は「蒼鳳さんの作品は優しい字が多く、穏やかなお人柄が感じられた」と話した。

 8月23日まで。無料。月曜休館。問い合わせは同館、0250(63)1722。

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