諏訪大社下社の夏の遷座祭「お舟祭り」が1日、諏訪郡下諏訪町であった。毎年、大勢の氏子らが集まって大きな「柴舟」を春宮から秋宮まで引き進めるが、今年は新型コロナウイルス感染対策で、代わりに柴舟に見立てた列をつくった。行列の規模は半分ほどに減らし、静かな祭りとなった。
春宮で農耕を見守ったご神体の「御霊代(みたましろ)」を秋宮に移す神事。御霊代を載せたみこしなど遷座の行列に続き、翁(おきな)と媼(おうな)の人形を、神事に奉仕する今年の「御頭郷(おんとうごう)」や氏子らが囲んで柴舟に見立て歩いた。
例年、町内に響くラッパの音や「よいさ、よいさ」との掛け声はなく、例年より早く移動が完了。関連イベントも中止し見物人も少なかった。
御頭郷の一人、横関千広さん(63)=茅野市=は「寂しい。本来の形を取れるよう、早く新型コロナが終息してほしいと強く思った」。毎年祭りを見に来るという下諏訪町の河西孝則さん(80)は「最小限でも祭りができて良かった。静かだけど、今年はこれでも良いと思う」と話した。